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メメロンチョは鼻息荒く声高らかに僕の鼓膜付近で騒ぎ出す。あまりにもうるさいので手に持っていたリモコンで側頭部を叩くとメメロンチョは静かになった。じんじんと痛む場所を見ると血が流れている。
「ヒヒッ、血が流れてラァ」
ああ僕にも人並みに赤い血が流れているんだなぁ。クラスではゴミ虫みたいに扱われてるのになぁと思うとなんだかおかしくなってくる。
そんな僕の手によってクラスの皆はメメロンチョの仕える神の下に馳せ参じることになるなんて、ぼかぁ幸せな使命を与えられたなぁと思いながらファイナルベヴン計画の準備を進めた。
「うん、ちゃんと動くぞ」
時限式の仕掛けを何度か試したけれど手作りとは思えないほど正確に作動する。これは時間が来るとAの薬剤とBの薬剤の入った容器の蓋が開いて、下にあるバケツにその薬剤が溜まる仕掛けになっているのだ。
「すごいわ! ちゃんと動くじゃない」
メメロンチョがまたも鼓膜付近で騒ぎ出す。今度は反対側だ。すかさず僕は近くにあった目覚まし時計で声のする方を叩く。
「少し黙れよ、メメロンチョ」
「あら、ユウ君は怒ったの? 怒っちゃったの? その感情は奴らに復讐するまでとっておかないと駄目じゃない。きっと海にいる鯨だって潮を吹きながら踊り出すわ」
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