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メメロンチョは何が楽しいのかケタケタ笑っている。ああ、うるさいうるさい。どうして天使ってこんなにうるさいんだろう。アライグマにダーツでもさせたら少しは静かに習字でもしてくれるんだろうか。
僕は足下にある箱から昨日の夜に撒いておいた殺鼠剤の犠牲者を取り出した。机の上にその肉塊を置くと、比較的大きくて鈍い音と共にまな板が振動する。
「まあ大きなネズチュー! お腹がいっぱいになってスヤスヤ眠ってるわ、天使は楽しい夢を食べるのが大好きなの!」
「だからうるさいんだよおぉ! メメロンチョさんよぉ!」
僕はちょっとぷっつんときてペン立てに入ってる千枚通しととんかちを両手に装備すると、灰色の肉塊に向かって力一杯何度も何度もなんどもなんどもナンドモナンドモなんども打ち付けた。
肉をひしゃげさせながらなんども反動で浮かび上がる他称ネズチュー。なんてファンシーでファンタジーな光景だろう。きっとこれは夢の国の入り口に違いないんだそうなんだ。
そんなとき、部屋の扉ががたりと動いた。さっきまであんなにおしゃべりで品のない笑いをしていたメメロンチョは人見知りのせいなのか黙りこんでいる。
「誰だよ。部屋に入るときはノックぐらいしろって言ってるだろ! こっちは青少年の一人遊びに勤しんでいるんだよ!」
扉から返事は帰ってこなかった。
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