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優しい彼女ができないこと、思いつきすらしないことを、代わりにするのが自分であります。
カスパール貴様、楽に死ねると思うなよ。まず第一に……」
「このおっきな帽子、誰のなの?」
割り込まれ、肩をすくめるスズリを、カスパールはくつくつと笑う。
「帽子かい? この帽子の持ち主は――」
遠くで響く爆音と、立ち昇る黒煙。
「たった今、死んだねぃ。拾ってもらい損だよ。あの馬鹿……」
「サードキィ……もしかしてあのオートマタの?」
睦の問いかけに、カスパールは悲しげに目を伏せた。
「まぁね」
「馬鹿な。甘ちゃんのドロシーが、トドメまで刺すはずが」
「自爆したのさ。そういう奴だ、あいつは。
……やれやれ、目立ってくれやがって。ドロシー死んだんじゃないか?
これじゃあ、あたいの立つ瀬がないじゃないか。
なあ、お嬢ちゃん、その目、まだ撮ってるんだろう?」
睦がうなずくと、カスパールはニィ、と悪意ある笑みを浮かべる。
「そうか。なら、あたいを見ろ。そして目に焼き付けな。
このカスパール様、最期にして最大の大花火だッ!!」
「え……」
足元に伏す首なしの身体に、金色の光が凝集する。
肌がひりつく、禍々しい熱量。
まさか、こっちも自爆――
「はいはい。おーしまい。で、あります」
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