第三幕「薔薇と誓い」

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 優しい彼女ができないこと、思いつきすらしないことを、代わりにするのが自分であります。  カスパール貴様、楽に死ねると思うなよ。まず第一に……」 「このおっきな帽子、誰のなの?」  割り込まれ、肩をすくめるスズリを、カスパールはくつくつと笑う。 「帽子かい? この帽子の持ち主は――」  遠くで響く爆音と、立ち昇る黒煙。 「たった今、死んだねぃ。拾ってもらい損だよ。あの馬鹿……」 「サードキィ……もしかしてあのオートマタの?」  睦の問いかけに、カスパールは悲しげに目を伏せた。 「まぁね」 「馬鹿な。甘ちゃんのドロシーが、トドメまで刺すはずが」 「自爆したのさ。そういう奴だ、あいつは。  ……やれやれ、目立ってくれやがって。ドロシー死んだんじゃないか?  これじゃあ、あたいの立つ瀬がないじゃないか。  なあ、お嬢ちゃん、その目、まだ撮ってるんだろう?」  睦がうなずくと、カスパールはニィ、と悪意ある笑みを浮かべる。 「そうか。なら、あたいを見ろ。そして目に焼き付けな。  このカスパール様、最期にして最大の大花火だッ!!」 「え……」  足元に伏す首なしの身体に、金色(こんじき)の光が凝集する。  肌がひりつく、禍々(まがまが)しい熱量。  まさか、こっちも自爆―― 「はいはい。おーしまい。で、あります」     
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