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第五幕「●REC」
「やれやれ、ようやく肩の荷が降りた。
これでやっと、私の筆頭騎士としての仕事も終わりだね」
遊離はため息とともに手近な椅子に腰を下ろした。
「え。遊離さん特異点の守護者辞めるんですか」
「そだよ?。ま、あくまで書類上だけどね。
アヴァロンと関係深い特異点の守護者のトップが、
そのままグランギニョールの総支配人を引き受けるわけにはいかないから」
「…………」
部屋の隅でスズリがもぞっと身じろぎする。
きっとこの情報も初耳だったのだろう。
グランギニョール総支配人。
劇場で行われる正式な決闘を取り仕切る、いわばレフェリーのような存在だ。
いくら筆頭騎士を辞すとはいえ、遊離の立場は中立とは言い難い。
「違和感あるでしょ。でもこれが、四大PMCの総意なの。
今回のグランギニョールには、支配人の中立性よりも優先されるべき事項がある」
「それって……」
「このリストを見て頂戴」
睦のコンタクトレンズに、MRディスプレイが投影される。
もちろん遊離による操作など許可していない。
いつの間にか権限を奪われていたのだ。
ディスプレイに表示されたのは四体のオートマタ。
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