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妖
幽霊
霊獣
そしてヒト。
ヒトの言葉を理解すると思われる、この世と異界の住人。
時に追い、追われ、
食餌となり、滅される怨敵ともなる異種族。
それが混在して、和気藹々と語り、食べて、呑む。
普通なら存在しないようなこの空間、この空気。
すごく自然に溶け込める自分が居て、不思議。
いつから?
ごく最近……。
ううん、もっと前から。
そんな風に感じはするけど、いつからか定かじゃない。
隣のおっちゃんは、まーちゃんのお父さんにがっつり飲まされぐでんぐでん。
見た感じ、生きたヒト以外は見えてないみたい。ひろーいお座敷に、ぽつんとしてるんだろうな、おっちゃんからみた私たち。
夜通し続くかと思われた宴が、私たち未成年の為にと早々にお開きになったのが午後八時過ぎ。
きっと別の場所でなにやら始めるんじゃないかと、春ばぁが笑ってた。
『奈津様』
呼ばれて振り向くと、雪代さん。
『先日お渡しした堅牢地神様のお塩はまだお持ちですか』
「はい、ポケットにいつも入れてます」
『そうですか。お持ちでよかった。あのお塩は、地に関わる事全てを浄めます。例えば地面の上に立っていれば、それだけでも幾許かの効果が上乗せされます』
「上乗せ、ですか」
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