検 証

4/41
285人が本棚に入れています
本棚に追加
/549ページ
 妖  幽霊  霊獣  そしてヒト。  ヒトの言葉を理解すると思われる、この世と異界の住人。  時に追い、追われ、  食餌となり、滅される怨敵ともなる異種族。  それが混在して、和気藹々と語り、食べて、呑む。    普通なら存在しないようなこの空間、この空気。  すごく自然に溶け込める自分が居て、不思議。  いつから?  ごく最近……。  ううん、もっと前から。  そんな風に感じはするけど、いつからか定かじゃない。  隣のおっちゃんは、まーちゃんのお父さんにがっつり飲まされぐでんぐでん。  見た感じ、生きたヒト以外は見えてないみたい。ひろーいお座敷に、ぽつんとしてるんだろうな、おっちゃんからみた私たち。  夜通し続くかと思われた宴が、私たち未成年の為にと早々にお開きになったのが午後八時過ぎ。  きっと別の場所でなにやら始めるんじゃないかと、春ばぁが笑ってた。   『奈津様』  呼ばれて振り向くと、雪代さん。 『先日お渡しした堅牢地神様のお塩はまだお持ちですか』 「はい、ポケットにいつも入れてます」 『そうですか。お持ちでよかった。あのお塩は、地に関わる事全てを浄めます。例えば地面の上に立っていれば、それだけでも幾許かの効果が上乗せされます』 「上乗せ、ですか」
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!