検 証

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   この家の座敷は広い。  何しろ、十二畳が三つ。襖を外してぶちぬいて。  その一番奥にはどでかいお仏壇が鎮座。そして、その前あたりの膳を占領しているのは言わずと知れたこの家のご先祖様軍団。もちろんどんちゃん騒ぎってやつ。  ちょっと一本気でわがままで、言いたい放題だけど、熱い心も持ってる方たちだと思う。  実はあちらの世界の方たちのほとんどが、一本気というか鉄の一念の持ち主なのかもしれない。他界するその瞬間の、一番熱い、重い、激しい思いを抱いたままだから、なのかもしれない。まあこの前助けてもらわなかったら、そんなこと気付きもしなかったんだろうけど。    その隣の部屋の、(あやかし)の一団に福ちゃんとクロにゃんが混じり、なんと美緒さんを囲んでいる。  お酌してるのはママ。勧められる酒を呑んでいるのは妖だけで、未成年と思しき面々はお好み焼きと焼き鮭。実に健全。  どうやら彼らは生きてるヒトの食物を、口に入れる直前に分子の気体に変換して食べてるらしい。食べるというより吸収?栄養素は要らない。嗜好品扱いなのかしら。  触れられないものは念動力で、エリアの移動は自由自在。  便利だな。  瞬間移動が出来ればもっと便利かもしれないけど、それは守護霊様とか神仏の特権。  霊獣は、高速で移動するけど瞬間移動は標準仕様じゃないらしい。  
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