近未来

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思い描いていた近未来とはどのようなものだったろうか。 自分の貧困な想像力など遥かに越えた科学の力。 車は空を飛び。 タイムマシンで気軽に過去に行く。 会社まではドア一枚隔てればすぐ。 だが、それでも。 これほど便利になった、我が近未来でも叶わぬ夢は会った。 『死者と会うこと』 いなくなってしまった大切な人。 あるいは文句も言えないまま死んでいったもの。 その他、語る言葉をもたなくなった者達。 もちろん、今の時代、AIを使えば本人を再現した会話ロボットなどいくらでも生産可能だ。 夫婦亡き後、その家にAIで生前を完全再現した夫婦の逸話など満載。 『死者』を『騙る』ことなど、近未来では容易い。 だが、しかしである。 『死者』そのものに出会うことはこれ以上ないほど困難なことだったのだ。 それが! こんな形で出会うことになろうとは!
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