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死者に会う
届いたのは、今時、たった一枚のハガキだった。
今時、こんな文句にひっかっかる奴がいるのかというキャッチフレーズ。
『あなたも死者にあいませんか?これまで三万以上の方にご愛好いただいております。夢見た近未来時代だからこそのこの技術!!』
営業が下手にも程がある。
しかし好奇心というのは恐ろしいものだ。
特に近未来という言葉に強く惹かれていた私は思わず電話をかけ実際に話してみる。
『今までの死者と会う方法は、もちろん色々考えられてはきました。AI,タイムマシン。しかし、今恐らく天国で暮らしているであろう、死者そのものに会う技術は当方が初めて開発したのであります。』
夢見た近未来の力。
それで実現する死者との邂逅。
『なぜ私に営業を?』
『あなた様がこういった近未来を意識したものがお好きだと言うことは業界でも有名ですから。』
近未来好きの私は、自身も研究機関を立ち上げ、今まで数々の近未来を成し遂げてきていた。
ちょっとした有名人なのである。
だからこそ、余計に、自分が実現出来ない企画に興味があるのだ。
『つきましては、前金といたしましてー』
金の交渉。
なんという怪しさ!
ああ、しかし死者と会いたい私はらそんな口上にも乗ってしまうほど浮かれていたのであろう。
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