3.ついに出会いました。

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「――貴女がミヅキか?」 「!」  立派な調度品に囲まれた応接間で、美月が天井の豪華なフレスコ画や壁に掛かる油絵に見惚れていると、いつの間にか背後に一人の少年が立っていた。 「……あ、えっと……はい……はじめ、まして。名塚美月と申します」  天使のような容貌の、美しい少年だ。  声変わりもしたばかりなのか、やや高めの声が一層幼さを感じさせる。背は低い。平均身長より少し高めの美月よりも少し低いくらいの背の高さだ。 (中学生? いや、高校生くらい?) 「…………」  何やら相手の少年もこちらをじっと見ている。青い瞳が、美月の好きな透き通った美しい瑠璃色に似ていて、思わずその目を食い入るように見つめ返した。視線が絡むと、少年は暫くして目を逸らした。 「?」 「あー……不躾にすまない。レディに失礼を。僕の名は、レオンハルト。レオンハルト・クローゼ・ フォン・ルーデンボルグと言います」 (……ルーデンボルグ?)  その名には聞き覚えがある。何故なら、ルーデンボルグ公爵家は何を隠そう、このベルンシュタインの領主の名である。  見開いた目を瞬かせ、少年――レオンハルトを見つめる。     
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