3.ついに出会いました。

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 柔らかそうな金色の髪をふわりと揺らし、少年は美月に微笑んだ。 「早速ですが、ミヅキさん。貴女には描いて貰いたいものがあるんです」 (あ、あれ? どう言うこと? ご領主様では無く、このレオンハルト様が絵の依頼主?)  てっきりもっと年上の……例えば、レオンハルトの両親が依頼主かと思っていた。戸惑った様子で見つめる美月に、レオンハルトは首を傾げる。 (これは……な、なんだ? なんか可愛い、ような気もする……)  ペットを飼ったことがあるならば、恐らく見たことがあるかもしれないが、ここは犬で例えるよう。その時の彼の小首の傾げ方は、犬が飼い主の言葉を懸命に理解しようと耳をすませて首を傾げる時の仕草に似ている。  美月は子供は別に嫌いでも無いが、好きでも無い。ついでに言うと、弟が居るから年下の少年が好きだとか言う……所謂ショタの気は無い。寧ろ、自分の弟を思い出してしまうから、そう言うのは苦手だ。  だから、彼がいくら可愛くても、ただ可愛いなーくらいの気持ちにしかならないのだが、何故かレオンハルトはその可愛らしい仕草で首を傾げたまま、こちらを見ている。 「……何でしょうか?」     
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