4.準備は万全に。

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 この腕で、この先食べていけるかのチャンスかもしれない。  こんなチャンスは二度と無い。絶対に掴まなくては。 「……そうか。よろしく。ミヅキ、さん」  どこか安堵した様子で、レオンハルトがふわりと陽だまりのように、優しく穏やかに笑った。 「レオンハルト様、これからよろしくお願いします」  レオンハルトの様子を見て、今度は美月も少し緊張が解れて自然に笑うことが出来たように思う。彼は美月に頷くと、これからのことを話しだす。  画材の調達方法が心配だったが、レオンハルトは予めヘリオスとの話はついていた様子で、少々値が張るものも、二つ返事で用意してくれることになった。 「美月」 「?」  話も大体終わった頃には、もう日が暮れ始めていた。唐突に名を口にした彼女に、レオンハルトはきょとんとしている。 「……私のこと。ただの美月と呼んでください。レオンハルト様は私の雇い主です」 「あ、ああ。君が……美月がそれで良いのならば」  ――こうして、美月はルーデンボルグ家の画家として、新たな人生を歩き始めることとなった。     
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