5.どれを使うか迷います。

5/7

1481人が本棚に入れています
本棚に追加
/309ページ
「おいおい……お前が最近恐ろしく機嫌がいいって部下達から聞いたから、わざわざ見に来てやったんだぞ。俺は」  王太子は揶揄うようにニヤニヤとしながら、レオンハルトを見る。 「……僕が?」 「自覚が無いのか? いやに人当たりが良くなったって聞いたぞ。女でも出来たのか?」 「……は?」  レオンハルトは目の前の王太子に息を呑んだ。咄嗟に反応出来なかったのは、美月のことがちらりと頭を過ったからだ。 (何故、彼女のことが思い浮かぶのだろう?) 「お? その顔は図星か! お前に女が出来るなんてすげーな。そうか、そうかー! 万年鉄面皮のお前に、ついに春が来たのかぁ?」 「……そんなんじゃ、ありません」 「お前もさ、ぼちぼち適齢期だろ? 親父さんの後継いで、補佐官にまで実力で登り詰めて来た天才。地位も名誉もあんだから女なんか選り取り見取りだろ?」 「僕は、めんどくさい女は嫌いです」 「……へー。じゃあ、お前の惚れた女はめんどくさくない女なんだな」  王太子――アルフレッドの言葉に、レオンハルトが僅かに目を見開く。 (めんどくさく無い……確かに、彼女は僕を特別扱いしたりしない)     
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1481人が本棚に入れています
本棚に追加