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「おいおい……お前が最近恐ろしく機嫌がいいって部下達から聞いたから、わざわざ見に来てやったんだぞ。俺は」
王太子は揶揄うようにニヤニヤとしながら、レオンハルトを見る。
「……僕が?」
「自覚が無いのか? いやに人当たりが良くなったって聞いたぞ。女でも出来たのか?」
「……は?」
レオンハルトは目の前の王太子に息を呑んだ。咄嗟に反応出来なかったのは、美月のことがちらりと頭を過ったからだ。
(何故、彼女のことが思い浮かぶのだろう?)
「お? その顔は図星か! お前に女が出来るなんてすげーな。そうか、そうかー! 万年鉄面皮のお前に、ついに春が来たのかぁ?」
「……そんなんじゃ、ありません」
「お前もさ、ぼちぼち適齢期だろ? 親父さんの後継いで、補佐官にまで実力で登り詰めて来た天才。地位も名誉もあんだから女なんか選り取り見取りだろ?」
「僕は、めんどくさい女は嫌いです」
「……へー。じゃあ、お前の惚れた女はめんどくさくない女なんだな」
王太子――アルフレッドの言葉に、レオンハルトが僅かに目を見開く。
(めんどくさく無い……確かに、彼女は僕を特別扱いしたりしない)
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