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美月は慣れない事態にかなり動揺していた。今まで生きてきた中で、こんな美少年に「恋人がいるか?」などと聞かれるシチュエーションなど無かったし、またこのもぞもぞとした落ち着かない空気は、未だ嘗て感じたことの無い居心地の悪さだ。
おまけに、相手は依頼主で、仕事ができて、地位も名誉もあって、美少年で、年下で……。
そう、彼は美月よりも四つも年下だ。
自らの思考に、はっとした。彼が年下だと改めて考えたら、自分の中のもやもやとしたものが急に晴れた。
(そうか……彼は、私の弟と同じくらいの歳なんだ……)
美月の弟は、あちらの世界で高校二年生。恐らくレオンハルトよりも一つ年下くらいのはず。それを踏まえて考えれば、自分がこんな風に動揺するのはおかしい気がした。
年下の、弟ぐらいの歳の相手に自分は一体何を期待したのだろうか?
……動揺する理由など、無いはず。
「あ、あはは……レオンハルト様、突然どうされたのです? 私にご興味が湧いてしまった……とか?」
だから、つい。言ってしまったのだ。
揶揄うように、努めて明るく。何でも無いことのように、彼に。
「……ああ。僕は、美月に興味がある」
「え……?」
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