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美月は先ほど置いたベッド脇にある蝋燭を吹き消し、冷んやりとしたベッドへと身を投げた。客室とは言え、ベッドもシーツも清潔に保たれて、とても快適だ。部屋付きの使用人……確か、侍女のリーリアと言ったか……美月よりも年下の栗色の髪の愛らしい少女。彼女が美月の身の回りのことや、掃除を小まめに良くしてくれていることにも感謝しなければならない。
そんなことを考えながら、目を瞑った。
(明日は、気持ちを切り替えて描くことに集中しなければ)
余計なことを考えてしまわないように。
とろとろと重くなる瞼に抗えず、目を瞑ると、ふわふわとしたベッドの柔らかさに更に深い眠気を誘われる。
やがて、微かな寝息が聞こえ始めた。
蝋燭の灯りさえ消えた部屋は、すっかり真っ暗な夜の闇に満たされた。
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