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そんなことを考えたら、少しだけ疲れた身体に気力が戻る。ちょっとだけ軽くなった気がする足に力を込めて、再び大きく重い荷物を持ち直し、歩を進めようとした……その時。
「え」
大きなパネルを持ち上げたその時――悴んで感覚が鈍った指先から、かくん、と手が滑ってしまった。
(――まずい!!)
慌てて絵を守ろうと、反射的に新聞の巻かれたパネルに向かって手を伸ばした――その瞬間、再び誰かに呼ばれた気がした。
『――よ、――を……!』
あっ! と、思った時には何かに躓いていた。ふわり、と自分の体重がゼロになって、その次に、何故か重力の反対側に吸い寄せられるような奇妙な感覚に捉われる。
(……な、何これ?)
「?」
(ま、まさか……)
(いやいやいやいや、待て待て待て待てーーぃ!)
次に、凄い勢いで――落ちた。
「き」
(嘘ぉぉぉぉぉーー?!)
「きゃあああああーーーー!!」
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