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3.ついに出会いました。
片膝をついて跪いた騎士は、大きな身体を縮こませるようにして、少し頭を下げながら口を開いた。
「主人より、貴女をお迎えに行くように命を賜わりました。ベルンシュタインまで、お連れ致します」
騎士が跪くのは、美しいお姫様や御令嬢の前ばかりと思っていたが、昨今は違うのか。いや、この世界では違うのだろうか……などと、面食らった頭でぼんやり考えていると、騎士は美月の手荷物を預かって良いかと尋ね、あれよあれよと言う間に馬に乗せられてベルンシュタインへと出発していたのだった。
(……なんか、流されるままに付いて来てしまったけど……)
こんな私で良いのだろうか?
この世界へ初めて来た時、私はとある修道院の前で倒れていたそうだ。スキニーデニムにコート、皮のブーツを履いた私を、修道士達は男だと思っていた様子だが、ただ一人、その場でフレスコ画の宗教画を描いていたヘリオスだけが、私を女だと気付いて保護し、弟子にしてくれたのだ。
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