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「多田、あの、ちょっと、来て」 出社してすぐ、話しかけられた。 話しかけてきたのは、黒川 湊という名前の、男から見ても綺麗な男性。すげえ美人。 「何?」 「こっち。ちょ、まじ来て」 連れて来られたのは休憩室。相談するにはうってつけの場所。実際何回か連れて来られたことがある。 「どうしたの?影月くん絡み?」 これは本当に内緒にして欲しいんだが、湊は男と付き合っている。 相手は、同じ職場の四歳年下の超イケメン、影月 翔真くんだ。男が妬む程の容姿の持ち主で、女子からも人気だが、本人は湊にゾッコンだ。 「そうなんだけど…。こ、こんどーむ?」 「…は?」 「あれ、こんどーむだっけ、そうだ。そうだコンドーム。それってさ、どこに売ってるの?」 整った唇からとんでもねえ言葉が出てきた。まさか、買ってこいって言われたのか? 「…買ってこいって言われた?俺が買ってこようか?」 「いや、違くて…その、口でつける、練習がしたくて…」 …そんなの普通人に相談するか?まあいいけど。 「そう。コンドームは普通に薬局とかコンビニに売ってるよ。薬局の方が種類あるからいいかもだけど、人目が気になるならコンビニだな」 「ありがとう。あ、サイズってある?」 「影月くんのサイズは知らねえよ。でかかった?」 「は!?変態!」 「その変態な相談をしてきてるのは誰だよ!」 「俺だよ!」 …という、不毛な言い争いをたまにする。
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