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「まあ、影月くんはでかいだろ。だったらLサイズ買えばいいんじゃねえの?練習するときは玩具とか使えよ?」
「え、玩具?何それ。子供用の?」
「おまっ…ちょっと待ってろ」
こんなに純粋なのにどんどん侵食されていくな。なんか、すげえ面白い。
なんてことを思いながらスマホを取り出し、調べる。
「あ、これこれ。自慰用のやつな。今日したいんなら俺の貸すけど」
「え…嘘。お前まさか…」
「前の彼女が置いてったやつがあるんだよ!俺のじゃねえからな」
「へー…」
なんか変な目で見られるんだがまあいい。
「お前は彼女とか作らねえの?」
「あー、どうすっかな…今は仕事だけでいい、とか思ってるけど意外と焦ってる」
「ふうん。まあお前の場合両親が寛大だろ?彼氏でも彼女いなくてもいいんじゃね?」
湊は両親がいない。あと、兄弟もいない。幼い湊を残して、三人で首つり自殺をした。ついでに言うと、湊はその現場を目撃してしまった。
不幸に不幸が重なり、今に至る。姪はいるものの、不仲で誰も頼れない中、影月くんと会った。
彼の両親はアメリカに住んでいたこともあり、同性愛に反対はしなかった。それに、湊の過去を聞き、最大限にサポートしてもらっていると聞いた。影月くんの兄とも仲が良く、たまに食事に行く仲らしく、今の湊はとても幸せそうだ。
元気のない時代を知っているから、すごく嬉しいし、安心。
それに比べて俺は?
…遊んでばっかだ。
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