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1 お母さんのためのハンバーグ
キッチンの背は高かった。
お母さんが小さな踏み台を持ってきてくれて、やっと大きな天板に手が届いた。ぴかぴかの銀色をした、大きな粘土板のように見えた。
「めい、お母さんも手伝おっか」
お母さんがそう言ったけれど、ぶんぶんと首を振って、自分の顔よりもおっきいボウルを目の前に置いた。
「めいが作るの」
キッチンは海のように広く感じた。
蛇口に手が届かない。お母さんが脇に手を入れて持ち上げてくれる。
レバーを押し上げると勢いよく水が出て、お母さんが慌てて片方の手で水の量を調節した。緩やかになった水に手を入れる。泡沫流が手に当たってしゅわわと音を立てた。
ハンドソープを押して、手をかき混ぜ、泡をたくさん作る。
お母さんの手が脇の下で震えている。重くてお母さんの手が大変だって言ってる。
水で泡を流して、もう手洗いはおしまい。準備完了。
「お母さん、もういいよぉ」
お母さんはゆっくりとまた踏み台に乗せてくれた。
「めいもすっかり重くなったね。お母さん支えるの大変だったよ」
「牛乳ちゃんと飲んでるからね、めいは」
自慢げに鼻の下をこする。
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