命がけの出産

8/11
前へ
/11ページ
次へ
次の瞬間、集中治療室の電気が灯って急に明るくなり、佳奈に取り付けられた心電図モニターのアラーム音が、 「ピー」 と鳴り始めた。 すると同時に赤ちゃんが、 「おぎゃぁ、おぎゃぁ…」 とけたたましく泣き始めた。 看護師さんが駆けつけて、佳奈の様子を診ていると医師も駆けつけてきた。 僕は、一旦集中治療室を出るように言われて廊下に出た。 少しすると医師が集中治療室から出てきて僕に説明してくれた。 「手は尽くしたのですが残念ながら奥様は息を引き取られました。  赤ちゃんは無事です。」 「ありがとうございました。」 僕はお礼を言うと、集中治療室への入室が許された。 ベットの上には静かに眠る佳奈がいて、僕は佳奈に謝っても謝りきれない思いが込み上げていて、目から涙が溢れて止まらなかった。 外は、クリスマスイブの夜を彩るかのように、雪が舞い始めていた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加