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「まあ、そこまで心配することもないだろう。少なくとも“小顔の神”がこの王都に降臨されてからは、交易で地上に出た者やどこかの町が悪魔に襲われたという話も聞かない。この一帯は、神のお力によって守られているのだろうさ」
「“小顔の神”様ね…。私は見たことがないのだけれど、そんなに小顔なの?」
“小顔の神”がこの王都へ降り立ったのは十年ほど前のことだが、普段は神殿の奥に籠って滅多に人々の前には姿を現さないため、マユは未だにその姿を見たことがない。
「うーん、眉より上がやたらと小さくて、すぐに頭頂部になるような感じかな。だから、小さいのは顔というよりは頭かもしれない。その他は我々と大差無い姿をしているんだが、それは神が自らの姿に似せて我々を作られたからだという話だ」
「ふーん、でも、自分に似せて私達を作ったっていうのなら、何で頭の形だけ変えたのかしら?」
「さあ、そこまでは……」
「まあいいか。それじゃあ、明日は神の御加護を祈りながら出かけることにする」
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