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僕たちは泣きながら笑った。
「ありがとう、本当にありがとう」
妻に何度も伝えた。
僕たちの赤ちゃんを看護師が側に寄せようとした時、妻は言った。
「お義父さん、来てるんやろ?お義父さんに一番に抱いてもらっていい?そういうの、夢やったんよ」
両親がいない妻は、僕のたった一人の父を大切にしてくれている。
妻は頑固だ、もうそう決めているのだろう。
僕は頷いた。
父は照れくさそうに、分娩室に入ってきた。
「サナエちゃん、ありがとうなぁ」
そう言って、初めての孫を抱いた。
「おめでとう、おめでとう、ありがとう……」
父はとっても幸せそうだ。僕たちも、幸せだ。
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