僕が産まれた日

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 祖母がいつも、内緒のように祝ってくれる僕の誕生日は、男手ひとつで育ててくれた父の帰宅時間までに終了する。  その事を今思うと、父も内緒のそれを知っていたのだと思う。  僕の誕生日、いつも父の帰宅は遅かった。 「すまんなぁ。残業やったわ」 「うん、いいよ」 「もう、十歳になるか?」 「十一歳だよ」 「そうか、もうそんなか」  そんな会話は多少あったが、おめでとうという言葉はなかった。  しかし、僕もそれでよかった。  無理に祝われることの方が、心苦しいからだ。
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