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3
何だか幸子の様子が変だ。
「タエさんが、見えているのかな?」僕はタエを見た。
するとタエは「坊っちゃま以外、見えない筈なんですけど」とタエも首を傾げた。
すると突然、幸子の背中から白い靄が浮かび上がって来た。
「な、何だあ?」僕は、目を凝らした。
やがてその靄は実体となり、大きな白い狐に変わっていた。目が赤く、爛々と光っている。
「う、うわあ!で、出たあー!」僕は震える指先で、白い狐を差していた。
「坊っちゃま。どうやら白狐のようです。神社の祠から、抜け出て来たんでしょう」タエはそう応えた。
「きっと神社で直樹に取り憑いたんだ!それで稲荷ばかり食べてたのか」僕は直樹の話を、思い出していた。
するとタエは「いいえ坊っちゃま。稲荷は関係ありません。狐は肉食ですから。直樹様は、ただ操られていたんです。きっと本体は、その幸子様に」
白狐はまた靄となり、再び幸子の体へと吸い込まれた。
そしていきなり、僕に飛びかかって来た。
「キェー!」
タエは、僕の前に立ちはだかったが、幸子の体はタエを通り抜け、僕に抱きついた。
「えー?ちょっと!どうなってんの?」
僕は首を絞められ、あたふたもがいていると、タエは幸子の顔に芳香剤のスプレーを吹き付けた。
「あぎゃあ!」幸子は苦しがり、ドアを蹴破って外へ逃げ出した。
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