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タエはその後、鍋に火をかけた。
朝食用の味噌汁を作るためだ。
味噌汁は、タエの一番の自慢料理だった。
しばらくすると、鍋から味噌汁が吹きこぼれ出し、コンロの火を消していた。
タエは気付かずに、洗濯機を回していた。
フンフンフンッとタエは上機嫌だ。
すると突然、周りの電気が一斉に消えた。
「あら?何かしら?」
どうやら停電のようであった。
「えーと、こんな時は…と」タエはマッチを手探りで探した。
やっとの事で、炊飯器の横にあるマッチ箱を探し当てた。
そしてマッチを擦った。
チュドーン!!
久し振りに良く寝た。そう思える充実感が僕にはあった。
僕は寝袋から、ごそごそ這い出して、ベランダのドアをスライドさせた。
「………」なんだこれ。
部屋の中は真っ黒で、何もなかった。
所々、プスプスと焦げてる音がしている。
チリどころか、生活品の全てがなくなっていた。
「タエさーん!ちょっとどうなってんの?」
僕は夜を待たずに、また引っ越す羽目になったのであった。
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