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白狐 の巻
夜の神社は、何処となく薄気味悪いものだ。
特にここ、稲荷神社は、古くから建てられたものらしく、木柱にも所々にカビが生えている。
直樹は、境内に備えてある賽銭箱に、小銭を投げ込んだ。
シャンシャン。
鈴を鳴らして手を合わせる。
「どうか幸子と、上手く行きますように」
明日は同僚の幸子に、告白するつもりで神頼みに来たのだ。
すると後ろで「ケタケタケタッ」と笑う声が聞こえた。
「何だ?」後ろを振り返ったが、誰もいない。
首を傾げながら、本堂に向き直った途端、
「ケタケタケタッ」と、また聞こえた。
直樹は、勢いよく振り向いた。
すると目の前には、目を真っ赤にした白い狐が笑っていた。
それは直樹の、背丈以上に大きかった。
「うわあっ!」直樹は驚き、その場で気を失ってしまった。
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