4/12
前へ
/12ページ
次へ
その日は、曇り空。 少し雨がパラついていたが、傘をさすほどではなかった。 いつものように通る道。いつもの物置。今日も窓は開いている。 雨の日くらいは閉めた方がいいんじゃないだろうか… なんて思っていると、中に人影が見えた。 雨が強くなる前に、所有者が閉めに来たんだろう。 そう思っていた。 所有者がいる状態で、人様の家をマジマジと見るものじゃない。 とはいえ、目を逸らしてみても目的地はその家の先。 視界の片隅に入ったのは、 白っぽい服の人が、窓を閉めるわけでもなく、 ボーッと立ったまま外をみている姿だった。 変な人だな…。 それくらいにしか思っていなかったが、 それから雨の日には、必ずそこにその人影を見るようになった。 心なしかその姿は、日を追うごとにはっきりと見えるようになった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加