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梅雨入りし、 雨の多くなったこの月はその姿を見ない日は無かった。 窓こそ閉まっていたが、ますます色濃く姿を見せるその姿は、 前髪の長い、色白の女性だということはハッキリわかるようになった。 なぜそこにいるのか、なぜ雨の日しか居ないのかは全くわからなかった。 大型の台風が上陸していても、仕事の時間はやってくる。 いつもの道を通り出勤するが、 いつもと違うのは、そこに例の白い服の女性が居ないことだった。 別に、おかしなことじゃない。 この天候だ。わざわざ車庫の上の倉庫に用があることなんては、ほぼ無い。 たぶん偶然そこに居て、その時間帯が一致しだけなのだ。 そういうことだろう…と自分に言い聞かせようと思った矢先、 後ろから声をかけられた。
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