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神の落日、フランケンシュタインの夜明け
快適な旅は衝突音と船内を襲った衝撃によって終わりを告げた。
続いて免許取得試験以来聞いていないアラート音と回転する赤いランプに私の思考は焦燥で焼尽された。聴覚に意識を向けると何やら空気の漏れる様な音までする始末だった。
ベッドから起き上がり、覚束ない足取りでコックピットに向かった。外太陽系のロス星から間もなく地球に帰れるというのになんという不運。私は込み上げてくる不安と苛立ちを何とか噛み殺して揺れる船内を進んだ。
操縦席につくとコンソールを操作して宇宙船のコンディションを呼び出した。免許を取ってから人工知能の自動運転にまかせっきりだったのだが試験勉強で詰め込んだ知識がおぼろげなから残っていたようだった。
モニターに映し出された情報から推察するにどうやらデブリに衝突したようだった。さっきから船の管理AIを呼び出しているのだが反応はない。それどころか地球に向けて発信した緊急通信にも返答がない。どうやら船の心臓部がやられたようだ。
絶体絶命の危機に私の心に諦念の影が落ちた。だがそこではたと思い当たった。
ありえない
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