0人が本棚に入れています
本棚に追加
仕方なく駅までの道を雨に打たれながら歩いた。半年もお店に通いつめて、やっとの思いで告白をしたのに、終わって見ればこのざまだ。情けない。目尻の雨だけが熱を持っていた。
「おいブス、不愉快だから泣くんじゃねぇよ」
どこからか声が聞こえてきた。こんなに雨が降っているのに私の涙がバレるわけがない。私は足を止めた。
「おい、ここだよブス!」
私は首を振ると視線を下げた。車道と歩道を分ける植木のしたにマトリョーシカぐらいの大きさの人形が捨てられていた。その人形は七福神の福禄寿を最大限下品にしたような不愉快な顔をしていた。私は怒りでその人形を蹴りつけようとした。
「待て、蹴るのはやめろ。どうせならわしの頭を叩いてくれんか?」
「……もしかして、この人形本当に喋ってる?」
「当たり前だろブス。早くここから取り出してくれ」
イラッ! 私は腹立ち紛れに不細工人形の顔を踏みつけてやった。
「おいブス許してくれ、わしは叩かれ様と言う名の神でな、人間の怒りをこの身で受けるために口が悪く生まれてきたのだ」
「神様……?」
私はいぶかしがりならその人形を抱えあげると、降り続ける雨を使って表面についた泥を洗い流してあげた。よく見ると人形の足元には神様の名前が書いてあった。
「開運グッズってかいてあるけど……?」
最初のコメントを投稿しよう!