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体中の筋肉がゾワゾワとうごめくと、体内の余分な贅肉が震え、足の裏から抜け落ちていった。するりんぱっ……。
「え、なんだか痩せた気がする。服がだぼだぼ」
体中を触ってみたがやっぱり痩せている。胸がAカップになった気がするがこの際どうでもいい。私は手持ちのバックのなかからファンデーション用のコンパクトを取り出すと、裏蓋についた鏡を使って顔を確認した。
「うわ、物凄く美人になってる……」
鏡のなかの私はテレビドラマにでてくる人気女優のような顔をしていた。嘘。これが私……。ほっぺたをつまんで見る。痛い……。私は強めに自分の頬をビンタをした。
「やっぱり痛い……」
「どうじゃ、それがお前の心の顔じゃ」
「心の、顔……」
嬉しくもあるが、冷静になると怒りがこみ上げてきた。私は拳を固めると叩かれ様の頭を力いっぱい小突いてやった。
「痛い、痛い!」
「痛いじゃないわよ。結局、美人が良いって、お前ら神様の価値観はブスを舐めすぎだろ!」
「まぁ良いじゃないか。ブス捨て記念に、その顔をエンジョイすればいい」
「え、エンジョイ……」
美人に嫉妬心が沸くわけではないが、美人はやっぱり色々と得をしているような気がした。
「よし!」
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