頑張ってるね

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 生まれて始めての告白だったのに残酷な結果に終わってしまった。それなりに自身もあったのに。私は観察するように真島を見上げた。真島は目があっただけでダラダラと汗をかき始めた。それから大声をあげると私の前を逃げ去ってしまった。 「じゃぁな!」  私は手のなかのラブレターをびりびりに破ると非常階段から投げ捨てた。宙に舞う紙吹雪はとても綺麗だった。私は失恋に傷ついたりはしない。だって真島の態度はただの子供だ。押せば開く脆弱な扉に怯えたって仕方がない。  私はその足で図書室に向かった。生徒が無料で使える備え付けのパソコンを使って調べ物を始める。某県のサッカー協会のホームページによると、どうやら我が母校、南郷高校サッカー部は、県内二部リーグで、ぶっちぎりの最下位らしかった。開幕戦から四連敗で失点も二十を超えている。サッカーのことはほとんどわからないけど、数字の分析ぐらいはできる。 「弱っ……」  私は天井を見上げると椅子の背もたれを軋ませた。そのまま傍らの机で、図書の貸し出し係をやっていた、苛めれっ子の佐藤に話しかけた。 「佐藤はウチのサッカー部がなんで弱いか知ってる?」 「ウチのサッカー部もう何年も前から監督がいないらしいよ」 「監督がいないとどうしてチームが弱くなるの?」 「そりゃぁ、誰かに怒られないと選手がたるんじゃうからじゃない?」     
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