頑張ってるね

6/11
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
 それから二週間後、私は市営のサッカー場の応援席にいた。コンクリートの座席に座り、人工芝のコートを眺める。始めてサッカー場にやってきたが、目に鮮やかな緑色は観る側の期待感をあおった。  今日の対戦相手は二部リーグのトップ、私立桜聖学園だ。インターネットで調べたところによると今年に入ってまだ負け無しの強豪校らしい。果たしてぬるい練習の南郷がどこまで戦えるのだろうか。  両チームのウォーミングアップが終わったあと、審判の笛で試合が始まった。先輩とトラブルをおこしかけていた真島のことを心配していたが、やはり体が大きいだけあってチームの戦力なのだろう。センターバックと呼ばれるディフェンスの真んなかのポジションで先発出場していた。  試合は立ち上がりから相手ペースだった。桜聖学園の攻撃陣がゴール前に次々とドリブルで現れ、積極的にシュートを撃ってくる。南郷の選手たちはゴールの前で団子になり、ただひたすらその攻撃を跳ね返し続けた。  たまに大きく蹴ったボールが味方のフォワードに繋がるが、五メートルも前に進むことができず、相手のディフェンダーに取り返されてしまった。殆ど素人同然の私にも、桜聖学園が圧倒的に格上であることは直ぐに理解できた。  そして前半十五分、ついに桜聖学園のシュートが南郷のゴールに突き刺さった。うなだれる選手たちを真島は手を叩き必死になって鼓舞をした。     
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!