頑張ってるね

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 選手同士の握手が終わると南郷の選手が応援席の前までやってきた。いくら負け試合とは言え三年生たちのだらだらした挨拶には不愉快さしか感じなかった。まばらに集まった選手の父兄しかいないとはいえ、もっとピリッとした態度は取れないものだろうか。  真島はベンチの横で帰り支度を始めた三年生に声を掛けた。 「先輩、明日から朝練を始めませんか。こんな負け方が続いたら来年からウチに選手が来てくれなくなりますよ」 「誰のせいで負けたと思っているんだよ。お前のオウンゴールのせいだろ。お前が一人で朝練やってりゃ良いんだよ。おい、お前ら、帰りにカラオケ行こうぜ」  三年生は言いたいことを言うとそのまま仲間を連れて帰ってしまった。最低な奴だ。チームが一点も取れないのは果たしてディフェンスだけのせいだろうか。デカイ体の真島が健気に同級生に声を掛けた。 「オウンゴールは俺のせいだから謝るけど、でもこのままじゃいつまでたっても勝てないぜ。俺たちの代だけでもやり方を変えないか!」  同級生の反応はそぞろな物だった。先輩との軋轢もあるだろうが、大敗と開幕五連敗で心が折れてしまっているようだった。真島は仲間の顔色を見ると弱気になってしまった。 「俺は明日から朝練を始めるから、少しでも強くなりたい奴は練習に顔を出してくれ……」     
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