雨粒は俺の声

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雨粒は俺の声

 気圧は徐々に下がり始めた。   綺麗なお天気お姉さんが、台風8号の進路を説明している間にも、外では暴風雨がガタガタと窓のサッシをゆすり激しさを増していった。 「……くる! 来るぞ! 今回の台風は大きいぞー!」  朝風呂から出たての俺は、タオル一つを首にかけた状態で、お天気お姉さんの視線など気にせずに大声で叫んだ。   「叫ぶのって、キモチイイよな……」  ……寂しい。  珍しく俺が休日に休みを取れたのに、嫁は大雨など気にもせず今日一日、友達と遊ぶという。息子も部活だと言って、朝から2人に駅まで送れと叩き起こされた。  ゆっくり寝ようと思っていたのに。腹立たしいが、あえて俺は口に出さない。決して嫁が怖いわけではない。俺の心が広いからだ。嫁が怖いわけではない。  それを証拠に、2人を車で送って帰ってきた俺は、普段から水がもったいないと禁止されていた朝風呂を、思う存分満喫した。  風呂場も洗ったから、怒られないぞ。怖くないぞ。
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