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するとどこからともなくパトカーのサイレンが聞こえてきた。智也が死んでわずか十分足らずであるのに、もう校内に入ろうとしている。全く警察官の行動力には脱帽する。
しかしこのまま将吾が教室にいれば、警察に殺人犯と勘違いされ、凶悪殺人犯として刑務所に放り込まれる可能性があった。なので仕方なく慎吾は教室から出ようとする。
しかし警察のように行動に移すのが遅かった将吾は行動力世界一の警察には勝てず、教室で鉢合わせることになってしまった。
「大丈夫かね」
銭形警部と全く同じ格好をした警部は、どうやら将吾を凶悪殺人犯と勘違いしなかったらしい、後ろにいた刑事達にすぐさま彼の保護を命じた。恐らく彼を怪しんだ刑事もいたが黙って警部に従う。
「君、名前は?」
刑事の一人が尋ねた。
「桐谷将吾です」
将吾は平然に返したので、刑事の表情が少し強張っていた。恐らく正午を怪しんでいるのだろうが、それももちろんのことである。実際この吐瀉物と血にまみれた死体のなかでこうも平然としていては怪しまれるのも仕方なかった。
いつの間にか何人もの大人が教室に入ってきていた。
所轄署と機捜の捜査によって殺人事件と判断されてから呼ばれるはずの警視庁捜査一課の庶務担当管理官も来ており、事態は異様だと判断される。
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