第1章 校内放送

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真冬のように寒い春、桜が舞うことのない新学期を迎えるとともに受験生というカテゴリーに付けられることへの億劫さがまだ初々しさのある新クラスを包んでいた。  高校三年生は人生で一番苦労すると母親や先生に何度も言われ、その度に学生達に三年生を迎える億劫さを植えつけられて来た。受験生とは人生の一番急な上り坂だと始業式で校長が言うと新三年生の周りから目に見えるような怠惰な念が浮かび上がって来て、何人もの生徒が舌打ちを鳴らしていた。  桐谷将吾もその一人だった。
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