第1章 校内放送

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しかし別段舌打ちをするような性格ではなく、教室の端っこで手持ち無沙汰を誤魔化すために別に好きでも無い小説を読んでいるような根暗な少年であるのだが、流石にあらゆる教師から受験生に対する大切さを嫌ほど聞かされ、億劫さをさらに植え付けられれば根暗な性格でも自然と反抗心が出てしまうだろう。  だからどうにかその反抗心を抑えようと将吾は受験生という考え方を一新し、ポジティブ思考で捉えようと試みた。  その結果が、なんとも人生を舐めた甘い考えなのだが、 ______受験生は静寂とともに過ごす安楽期間。  高校三年生、所謂受験生には勉強に全うしてほしいため文化祭や体育祭などのあらゆる行事が排除される。友達の少ない将吾にとって、行事期間は地獄の日々でしかなく、無理にでも大勢の前で何かをする事になる。  しかし受験期であると、全ての行事が抹殺されているため何かハプニングも起こることなく一人で静かに過ごすことができるのだ。いちいち行事ごとの際に盛り上がったり、クラスで団結!など意気込んだ空気に触れずに済むのである。  だから根暗な性格の者にとっては悪く無い期間なのであろう。大量の模試と大学入試を除けば。
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