第1章 校内放送

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「どうしたのよ智也!!」  成美が必死に叫ぶが智也からの返事はない。  教室中が智也一点に集中し、空気感が変わっていくのがわかった。  そして彼の顔は血の気が失ったかのように青くなっており、目の活力が完全に失われていた。まるで暗い、闇のように暗い目をしていた。  成美は倒れこんできた智也の体を触り悲鳴をあげた。 「きゃあああああああああああ」  智也の体温はまるで氷のように冷たかった。もはや顔だけでなく身体中が青くなっており、口や目から冷たい黒い血が流れ出ていた。  そして成美の悲鳴が事態の悲劇さをものがたり、教室中が悲鳴の渦に飲み込まれた。 「し、死んでる」  大輔が倒れ込んだ智也を見て腰を抜かし、余りにもの残酷な姿に吐瀉物を吐いた。  悲鳴の渦は鳴り止まず、いつになっても先生は来ない。ここまで騒いでいたら確実に職員室まで聞こえているはずなのだ。  しかし将吾はこの無機質な音の中、この教室以外からも同じような叫び声が聞こえるのを感じた。  もしかしたらこの教室以外でも同じようなことが起こっているのかもしれない、そう思った時、低音の声がまた校内を刺す。 「たった今、8名の生徒が死にました。死因は毒殺です。先ほど死んだ8人は朝礼の前に先生から出された飲み物を飲みました。その中に毒物が混入されていたのです」  放送を聞くことに集中していたのか悲鳴の渦は少しだけ弱くなった。
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