第1章 校内放送

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低音の声は続ける。 「これからも誰かしら死ぬと思っていてください。ちなみにこれは事件ですので、警察の方に連絡したほうがいいでしょう。どうにかして助けにでも縋ってください。  まあ、どうせみんな死ぬんですけど」  低音の声は快活に話す。その快活さが不気味で、より皆に恐怖を患わさせる。 「まあみなさん、そんなに怖がらずに。どうせ人は死ぬんですから。いつか死ぬんなら今日死んでもいいでしょう。  てな訳で、皆さん楽しんでください。良い新学期を」  ぶち、と突然校内放送が終わる。  スピーカーから残された無機質の音が聞こえる気がした。  将吾は自分の手を見て生きていることを確認した。全身に冷たい汗が噴き出している。そして立ち上がり、外の景色を見た。  しかし教室と外は余りにも違い、まるで生きているような気がしなかった。
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