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「それ、学生時代の話っしょ?」
笑いの主は、シキだった。
シキが指を鳴らすと、マナブと同じような紙が全員の前に。
「なんですか、これ」
カネコがそう聞くと、「営業成績だ」とシキが一言。
「そこに書かれているのが、田中クンの営業成績。見ての通り、落ちこぼれだよ」
そうシキが鼻で笑うと、マナブの眉間にシワがよる。
「大事なのは今までの過程だろ。彼の努力は、評価するべきだ」
「努力が評価されるのは学生まで。こいつはもう32歳っすよー。社会人は結果が全て、でしょ」
「死んだ人間の評価は、今までの人生で決めるものではないのか」
「死んだ人間の評価は、死んだ時の評価で決めるもんでしょ」
鋭い視線が交差し、沈黙が流れる。
そんな中、手を二回叩く音が響いた。
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