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「ゲンキの報告がまだでしょう。審議をするのは、早いのでは?」
カネコの冷静な言葉に、マナブもシキも黙る。
「ゲンキ、どうぞ」とカネコがそう言うと、ゲンキは「ほいよ」とニカッと笑った。
「彼の健康状態は、良好だ。学生時代、勉強に専念していたからか、視力は落ちているが、それ以外は問題がない。ただ」
「ただー?」
「自殺をした日、彼は高熱だった」
全員の視線がゲンキに集まる。
「39度を超える高熱の中、会社に行くまで目眩もあったみたいだ」
「……マナブ、そいつの死んだ時の状況は?」
シキの質問にマナブは、冷静に答える。
「ホームの黄色い線の内側に立っていたが、人とぶつかり、その勢いで線路に飛び込んだ」
「……目撃者はなし。自殺と考えられてもしょうがないわね」
「ってことはー、たまたまぶつかられて、熱で目眩によって、線路に落ちちゃった、っていう事故?」
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