第7章

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***** 「蒼哉さんですけど・・・どうやら、昨夜の璃子さんの言葉が相当響いているようですよ。」 「フフッ・・・もしかして、泣いてた?」 「ええ、きっと心の底では・・・」 「ハハッ!」 今朝、蒼哉と改めて互いの目的を確認し合ったところで、ようやく璃子にも屋敷内を自由に動き回れる権利が与えられた。 もっとも、敷地の外に出る事は叶わないのだが・・・ 早速、食事の支度や屋敷の掃除を手伝い・・・今は、琴子と2人、木々に囲まれた庭でお茶を飲みながら日向ぼっこをしている。 「ねえ、琴子さん、見て! コレ・・・」 「あら、四つ葉のクローバーじゃないですか!」 「うふふ・・・何だか、いろんな事が上手く行くような気がしない?」 「ですね。」 真っ青な芝生の絨毯の真ん中で、楽しそうに笑い声を上げている2人・・・ そんな彼女たちを、蒼哉は2階の窓から優しい眼差しで見つめていた。 彼女の屈託のない笑顔を見たのは、いつぶりだろう? 「フフッ・・・いつも、そういう顔をしていればいいのに・・・」 璃子の来訪から数日・・・蒼哉の心にも、いつしか優しい風が吹き始めていた。
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