3636人が本棚に入れています
本棚に追加
/294ページ
*****
「蒼哉さんですけど・・・どうやら、昨夜の璃子さんの言葉が相当響いているようですよ。」
「フフッ・・・もしかして、泣いてた?」
「ええ、きっと心の底では・・・」
「ハハッ!」
今朝、蒼哉と改めて互いの目的を確認し合ったところで、ようやく璃子にも屋敷内を自由に動き回れる権利が与えられた。
もっとも、敷地の外に出る事は叶わないのだが・・・
早速、食事の支度や屋敷の掃除を手伝い・・・今は、琴子と2人、木々に囲まれた庭でお茶を飲みながら日向ぼっこをしている。
「ねえ、琴子さん、見て! コレ・・・」
「あら、四つ葉のクローバーじゃないですか!」
「うふふ・・・何だか、いろんな事が上手く行くような気がしない?」
「ですね。」
真っ青な芝生の絨毯の真ん中で、楽しそうに笑い声を上げている2人・・・
そんな彼女たちを、蒼哉は2階の窓から優しい眼差しで見つめていた。
彼女の屈託のない笑顔を見たのは、いつぶりだろう?
「フフッ・・・いつも、そういう顔をしていればいいのに・・・」
璃子の来訪から数日・・・蒼哉の心にも、いつしか優しい風が吹き始めていた。
最初のコメントを投稿しよう!