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あれから、しばらく経って・・・
トシは仲間と一緒に小さな運送会社を立ち上げ、桃井は優のお店の従業員になった。
琴子から連絡があったのは、そんな頃だ。
何でも、通帳に身に覚えのないお金が振り込まれているとの事で、それを使って良い物かどうか迷って連絡をくれたらしいのだが・・・その金額を聞いて驚いた。
屋敷にいた5年分として考えても、十分過ぎるほどの金額・・・20代半ばの女性にとっては、大金と言えるお金だった。
振込主はもちろん、藤堂蒼哉 ――
琴子が本当に欲しかったのは、お金ではなかったようだが・・・それは蒼哉にとっても同じだったのだろう。
近い将来、離れる事になる2人・・・
あの頃の蒼哉に出来る事と言えば、それ以外になかったのかもしれない。
たとえ、彼の本意ではなかったとしても・・・
蒼哉が、いかに琴子を大切に思っていたのか・・・その気持ちだけは、痛いほど分かった。
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