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わたしは目を開く。ほほのつめたい感触に、この夢であることに気がつく。
起き上がったまま、ぺたりの鉄板の上に座り込んで、鳥籠の中でひたすら白を見つめる。あの声が来るのを待つのだ。この空間で他にすることはない。
しばらく――長い日もあれば、短い日もある――経つと、彼方からあの声が此方へと飛んで来る。それから変わらずわたしのひざの上におちつくその感触は、はかなくやわらかく、ふくふくとふくらむ。
そろそろと近づけた指にふわりとした感触が擦り寄って、やはりこの見えない存在がこのうつくしい声の主なのだ、とわたしは微笑んだ。
それに応えるように、それはひと声啼いた。
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