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波乱
いつものように、紫陽花の下に手紙を置いてから三日が過ぎた。
一日なら、少し体調が優れなかったのかもしれない、と思うくらいだった。でも流石に三日にもなると、次第にわたしは不安になってきていた。うだうだした内容に嫌気がさしてしまったのだろうか。やっぱりあんなこと書かないで、当たり障りのない、楽しい話を書いておいた方がよかったのだろうか?
そんなことを考えながら、わたしは当たり障りなく学校生活を過ごしていた。
腕を怪我した次の日、咲は学校を休んだ。昨日の朝、教室に現れた咲の右腕は白く分厚い布に覆われていた。
「おはよう、みはる」
だけど、咲は普段と変わらない風で挨拶をした。わたしはなんとなく赦されたような気になった。だから、せめて咲が普段と変わらない生活を送れるようにしよう、と密かに誓った。そうして一日はつつがなく過ぎていった。喉奥に刺さった小骨のような違和感を、つとめてわたしは見ないようにした。
だけど、それはどうやら正しくなかったらしかった。
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