ゆめ

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ゆめ

 こんにちは、はじめまして。あなたの手紙を拾いました。  最初、あなたの手紙を見つけたときは、驚きました。紫陽花の下になにか落ちているから、てっきり誰かのハンカチか何かかと思ったんです。それから、その内容にも、びっくりしました。だって、わたしとはあまりに違いすぎて、想像がつかないから。  わたしは、一人っ子です。二年前、中学に入るときに、この街に引っ越してきました。その前も、たくさん引っ越しをしてきました。いわゆる転勤族というやつです。ずっと入院している、ということは、多分ずっと同じところにいるということだと思うのですが、わたしの想像があっているなら、本当に逆だな、と思ったのです。  わたしも、あなたの友だちになりたいです。  すごく違うあなたの話を、聞いてみたいと思ったんです。あなたがわたしでよければ、嫌でなければだけど。  ちょっとだけ、学校の話をします。してほしい、って書いてあったと思うから。  わたしは、図書委員です。だから図書室で本の貸し出しの管理をします。でも、本を借りていくひとは少ないし、そもそも図書室に来るひとなんてほぼいないから、その間中、ずうっとぼんやりしています。クラスの友達や他の人たちは、同じ時間に何かしらすべきことがあって忙しくしているはずなのに、わたしはずっとぼんやりしています。まるで、だれからも必要とされていないみたいに。  今日は今朝の雲がうそみたいに昼頃には晴れていて、普段ひんやりしている図書室も暖かかったです。そこでうとうとしながら、あなたに返事を書くことを決めました。  だって、知らないひとと文通するのって、すこし特別な気がしたから。  そういうわけなので、それがもしも嫌だったら、また別のひとを探してください。ちょっとだけ、残念だけど。  それでは。知らない人に拾われてしまいませんように。
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