雨を飲む

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雨を飲む

サアアアアア――…… 今日は、雨が降っている。 弱く、小さい訳でなく。 強く、大きい訳でもない。 ただ、静かに、降っている。 僕は雨が嫌いだ。 だって、雨が降ると、いつもこの人はおかしくなってしまうから。 ベランダに出て、コップを手に持って、ずっと立っている。 時計の長い針が1周して、もう1周して……。 それでもずっと、その人は立ち続ける。 ああ、冷えてしまうだろうに。また風邪を引いてしまうよ。 時計の針が3周して、その人はようやく中へ戻ってくる。 その綺麗な黒い髪から、ポタポタと雫が落ちてても、全然気にしない。 手の中の、コップの中に溜まった水を、愛しそうに、悲しそうに、ただただ見つめて。 そして、一息に飲み下した――
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