2人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
紛失
ある日、いきなり祖母ちゃんが実家から家出してきた。
突然の来訪に、父さんも随分心配して問い質したのだが、祖母ちゃんは怒った様子で一言だけ「指輪を無くされた」と言った。
「どうやら、何処かで結婚指輪を、親父が無くしたらしい。それでお袋が切れたようだ。」
と…突発的に家を飛び出したは良いものの、他に行く所も無く、息子である父さんの所に飛び込んで来た祖母ちゃんから、何とか話を聞き出したようで、頭を抱えて僕と母さんに報告してきた。
別に僕は祖父ちゃんも祖母ちゃんも嫌いでは無いので、いつまで居て貰っても構わないのだが、母さんと祖母ちゃんはあまり仲が良くない。
「だって…いつまでいるのよ?」
祖母ちゃんがリビングにいない事を良い事に、母さんがそう父さんを問い詰めていた。
「ちょっと待ってくれよ。親父にも話を聞きたいし。」
「私、お義母さんの世話なんて出来ないわよ。まだ孝だって高校生なのに…」
「だから、ちょっと待てって言ってるだろ!ともかく親父と話してくるから!」
と…父さんと母さんまで喧嘩が始まってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!