第1話 崩壊と修練

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第1話 崩壊と修練

 剣と魔法のファンタジー、そう言えば嘸かし聞こえは良いだろう。  だがどうだ、料理のための刃、包丁でさえ凶器となる。  まして剣や魔法だ、暴力、凶器、殺意の象徴と言っても過言では無いだろう。  これはそんな世界へ身を投じることになった男の物語だ。 「ハァ、ハァ、ハァ…」  森の中を走る幾つかの影、鬼ごっこならどれだけ平和か…  ほのぼのや朗らかな要素は、追われている者の表情が否定していた。 「ッ…!」  背に激痛がはしる、相手は狼だ、恐らく、爪で背中を切り裂かれたのだろう。  痛みが判断を遅らせた、バランスの崩れた体は地面にうつ伏せで倒れる。  恐怖、恐怖、恐怖  狙われる恐怖、殺される恐怖、見知らぬ存在への恐怖。  精神が削られる、侵される、砕け散る。  最後に映った物は、「家族」や「親戚」との遠い日の「記憶」  諦めた、ここで自分の物語は幕を閉じる…。 「ちょっとー勝手に終わらせないでー。デッドオアアライブ、起きてくれなきゃいたずらするぞー」  聞き慣れぬ声はもう届かない。もう、起きることは無い。 ……… 「…仕方ない、…よね?、まぁいいや間に合わなかった、それだけ。かませはほっとこう。」     
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